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ボーナスをもらってから退職するには|損しない伝え方とタイミングの考え方

退職
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「もうすぐボーナスが出るから、それを受け取ってから辞めたい」——退職を考え始めたとき、多くの人が一度は思うことではないでしょうか。働いてきた分の賞与を受け取り損ねるのは避けたいものです。一方で「もらってから辞めるなんて印象が悪いのでは」「伝えるタイミングを間違えると、もらえなくなるのでは」と不安を感じる方も少なくありません。

この記事では、ボーナスを受け取ってから円満に退職するための段取りと注意点を、制度の仕組みに沿って中立に整理します。賞与の「支給日在籍要件」という大切なポイントや、退職をいつ伝えるかの考え方、査定への向き合い方まで、順番に確認していきましょう。なお、賞与の金額や支給月数は会社ごとに異なるため、この記事では金額には触れず、「考え方」と「段取り」に絞ってお伝えします。

この記事の結論
  • ボーナスをもらってから辞めるのは、基本的に問題ありません。後ろめたく感じる必要はありません。
  • 最大の注意点は、賞与の「支給日在籍要件」。支給日に在籍しているかどうかで、受け取れるかが変わることがあります。
  • 条件は会社ごとに違うため、まず自分の会社の就業規則(賃金規程)を確認することが、損をしないための出発点です。

ボーナスをもらってから退職するのは、基本的に問題ない

まず、多くの方が気にする点からお答えします。ボーナスを受け取ってから退職すること自体は、制度のうえでも、社会通念のうえでも、とくに問題のある行為ではありません。賞与は、支給の対象となる期間に働いた分に対して支払われるもので、それを受け取ってから次の道へ進むのは、ごく自然な考え方です。

「もらい逃げ」と後ろめたく感じなくてよい

「賞与をもらってすぐ辞めるのは、もらい逃げのようで気が引ける」と感じる方は少なくありません。しかし、賞与は労働の対価として支払われるものであり、受け取ったうえで退職するのは、正当な権利の行使です。実際、賞与の支給時期を一つの区切りとして退職や転職を考える人は多く、珍しい選択ではありません。

大切なのは、後ろめたさから判断を曖昧にしないことです。引け目を感じると、切り出すタイミングを逃したり伝え方が中途半端になったりしがちです。「受け取るものは受け取り、辞めるときは誠実に辞める」と分けて考えれば、必要以上に悩まずに済みます。

判断の分かれ目は「就業規則の支給条件」

ただし、「もらってから辞める」を確実にするには、一つだけ押さえておくべきことがあります。それが、会社ごとに定められた賞与の支給条件です。賞与は法律で必ず支払うことが義務づけられているものではなく、会社が就業規則や賃金規程で支給の基準を定めているのが一般的です。この基準の中に、次の章で説明する「支給日在籍要件」が含まれていることが多く、ここを知らずに退職日を決めてしまうと、思わぬ行き違いが起きることがあります。

まずは退職の全体像をつかんだうえで賞与のタイミングを組み込むと、段取りが線でつながります。退職を決めてから最終日までの流れは、次の完全ガイドにまとめています。

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押さえておきたい最重要ポイント|賞与の「支給日在籍要件」

ボーナスをもらってから辞めたいときに、いちばん気をつけたいのが「支給日在籍要件」という考え方です。聞き慣れない言葉かもしれませんが、退職のタイミングを決めるうえで避けて通れないので、順番に見ていきましょう。

「支給日に在籍している人に支給する」という考え方

支給日在籍要件とは、「賞与の支給日に会社に在籍している人を、支給の対象とする」という取り決めのことです。多くの会社が、就業規則や賃金規程の中でこうした条件を設けています。つまり、賞与の査定期間に働いていたとしても、支給日の時点で在籍していなければ、賞与を受け取れないという扱いになることがあるのです。

この「支給日在籍要件」は、裁判でも一定の合理性が認められてきた考え方です。支給日より前に退職すると、査定の対象期間に貢献していても賞与が支払われない可能性があります。「もらってから辞める」を実現するうえでは、この要件の有無が最初の分かれ目です。

退職日の置き方で、受け取れないことがある

支給日在籍要件がある会社では、退職日を賞与の支給日より前に設定すると、賞与を受け取れないことがあります。たとえば、支給日の直前を退職日にしてしまうと、査定期間はしっかり働いていたのに、あと数日在籍していれば受け取れたはずの賞与を逃す、ということが起こり得ます。

ここで少しややこしいのが、「最終出社日」と「退職日」は必ずしも同じ日ではない点です。有給休暇を消化する場合、最後に出社する日のあとも退職日までは在籍が続き、これが支給日まで及んでいれば賞与の対象になることもあります。退職日をいつにするかは、賞与の支給日を意識して慎重に決めたいところです。

判断の前に、必ず自分の会社の規定を確認する

ここまで「支給日在籍要件」を説明してきましたが、いちばん大切なのは、これらの条件が自分の会社にどう定められているかを、必ず自分で確認することです。支給日在籍要件があるかどうか、支給日はいつか、退職予定者の扱いはどうなっているか——これらはすべて会社ごとに異なります。一般論だけで判断すると、実際の規定とずれてしまう危険があります。

  • 支給日在籍要件があるか:就業規則・賃金規程に「支給日に在籍する者に支給する」といった記載があるか。
  • 賞与の支給日はいつか:支給の時期がいつに設定されているか。
  • 退職予定者の扱い:退職が決まっている人に対して、支給や減額の定めがあるか。

就業規則は、多くの会社で社内のイントラや共有フォルダ、総務・人事への申し出で閲覧できます。労働基準法では就業規則の周知が会社に求められているため、「見せてほしい」と伝えれば確認できるのが原則です。迷うときは、人事や総務にそれとなく制度を尋ねてみるのも一つの方法です。

賞与を受け取る前後で、退職の意思をいつ伝えるか

賞与の支給条件を確認したら、次に考えたいのが「退職の意思を、いつ、どう伝えるか」です。伝えるタイミングは、賞与そのものの受け取りだけでなく、円満に辞められるかどうかにも関わってきます。ここは正解が一つに決まるものではないので、判断の軸を整理しておきましょう。

支給の直後に切り出すと角が立ちやすい場面

「賞与を受け取った翌日に退職を切り出す」——これ自体はルール違反ではありませんが、受け取る側の上司からすると「賞与だけ受け取って辞めるつもりだったのか」と感じられ、印象を損なうことがあります。賞与の支給と退職の申し出があまりに近いと、意図を勘ぐられやすくなります。

もちろん、これは「気持ちの問題」であって、賞与を受け取る権利や退職する権利が変わるわけではありません。ただ円満に辞めたいなら、支給の直後にいきなり切り出すより、少し間合いを取る、引き継ぎの段取りとあわせて丁寧に伝えるなど、伝え方に配慮するとよいでしょう。

支給の前に伝えるかどうかの判断軸

では、賞与の支給前に退職を伝えるべきか、支給後まで待つべきか。どちらにも一長一短があります。支給前に伝えるメリットは、引き継ぎの時間を十分に確保でき、就業規則で定められた申し出の時期にも余裕をもって間に合わせやすいことです。誠実に早めに伝える姿勢は、円満退職につながりやすくなります。

一方で、退職を伝えたことが賞与の査定に影響しないか、と心配する声もあります。査定については次の章で触れますが、支給日在籍要件を満たしているかぎり、退職予定であることだけを理由に賞与が不支給になるとは限りません。ただし会社の規定や運用で扱いは変わるため、心配なら支給日と退職日の関係を確認したうえで伝える時期を選ぶのが安全です。退職のタイミング全般は、賞与以外の要素も含めて次の記事で3つの軸に整理しています。

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「申入れから2週間」で辞められる権利は残っている

タイミングを考えるうえで、土台として知っておきたいのが、退職に関する法律上の権利です。賞与のタイミングに合わせて退職日を調整するとしても、辞める権利そのものは法律で守られています。この前提があると、必要以上に会社の都合に振り回されずに済みます。

退職は「2週間前」の申入れで成立する

期間の定めのない雇用(正社員など)では、民法627条1項により、退職の申入れから2週間が経過すれば雇用は終了します。会社の承認は要りません。就業規則の「1か月前」は法律より長い日数ですが、争う理由がなければ、円満退職のために就業規則の期日を尊重して合わせるのが、いちばんトラブルの少ないやり方です。賞与を意識するなら、支給日から逆算し、就業規則の期日にも余裕をもって間に合う時期に申し入れておくと安心です。

条文の出典:e-Gov法令検索「民法」(参照日2026-07-19)

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賞与を受け取ってから円満に辞めるコツ

賞与のタイミングと退職を両立させるとき、多くの人が気にするのが「査定への影響」と「周囲からの印象」です。ここでは、賞与を受け取りつつ円満に辞めるために意識したいことを整理します。

査定への影響を、過度に恐れない

「退職を伝えたら査定を下げられるのでは」という不安はよく聞かれます。たしかに賞与の査定には会社の裁量が働く部分があり、絶対に影響しないとは言い切れません。しかし、支給日在籍要件を満たしているかぎり、退職予定であることだけを理由に賞与を一方的にゼロにするような扱いは、必ずしも認められるものではありません。

大切なのは、査定への不安から退職の判断そのものを歪めないことです。気にするあまり辞めたい時期を大きく後ろ倒しにすると、かえって自分の負担が増えます。過度に恐れず、しかし規定は冷静に確認する——このバランスが現実的です。心配なら、支給日在籍要件を満たす形で退職日を設定しておくと、余計な不安を減らせます。

引き継ぎを丁寧にして、印象で損をしない

賞与を受け取ってから辞めるときに、印象面での後ろめたさを減らす最良の方法は、引き継ぎを丁寧に行うことです。「賞与だけ受け取って去っていった」という印象ではなく、「最後まできちんと仕事を引き継いでくれた」という印象を残せれば、賞与のタイミングを気にする声は自然と小さくなります。

引き継ぎは、口頭だけで済ませず、担当業務の一覧や手順を資料の形で残すのが基本です。後任や周囲が困らないように業務を整理して渡す姿勢が伝われば、送り出す側の受け止め方も変わります。引き継ぎ資料の作り方やスケジュールの立て方は、次の記事で具体的に解説しています。

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退職理由は前向きに伝える

退職を切り出すときの理由も、円満さを左右します。ここで「賞与をもらってから辞めようと思っていた」といった本音をそのまま口にする必要はありません。退職理由は、会社が改善提案をしにくい、前向きな内容を1つ伝えれば十分です。賞与のタイミングは、あくまで自分の中での区切りにとどめておけばよく、伝える理由とは切り離して考えられます。

本音と、伝える建前を分けるのは、嘘をつくことではなく、円満に辞めるための知恵です。退職理由の考え方や、場面別の伝え方は、次の記事で詳しくまとめています。

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シフト君
シフト君
ボーナスをもらってから辞めるって決めたのに、査定を下げられそうで、なかなか言い出せません…。
ナビ先生
ナビ先生
まずは支給日在籍要件と支給日を確認しましょう。要件を満たす退職日にしておけば、賞与そのものは受け取れることが多いです。査定を心配しすぎて、辞めたい時期を大きくずらす必要はありませんよ。

「賞与を待つべきか、すぐ動くべきか」の判断

ここまで「賞与をもらってから辞める」ことを前提に段取りを見てきましたが、最後に、そもそも「賞与を待つべきかどうか」という問いにも触れておきます。賞与を待つことが、いつも最善とはかぎりません。状況によっては、賞与より優先すべきことがあります。

次の転職先の都合を優先すべきケース

すでに転職先が決まっている、あるいは選考が進んでいる場合、賞与の支給日を待つことで入社時期が後ろにずれ、内定先との調整が難しくなることがあります。賞与を受け取るために入社を遅らせようとした結果、転職先の心証を損ねたり、条件が変わったりしては、本末転倒です。

賞与は一度きりの区切りですが、新しい職場でのスタートはその後のキャリア全体に関わります。目先の賞与と次のキャリアの都合を天秤にかけ、冷静に見極めることが大切です。転職先の入社希望日が固まっているなら、賞与にこだわりすぎず、そちらを優先したほうがよい場面もあります。

心身の状態を優先すべきケース

もう一つ、賞与より優先すべきなのが、自分の心身の状態です。今の職場で強いストレスを抱えていたり、体調に不調が出ていたりする場合、「賞与の支給日まで我慢して働く」という選択が、かえって自分を追い詰めてしまうことがあります。賞与は大切ですが、それと引き換えに健康を損なっては、取り返しがつきません。

「あと少しだから」と無理を重ねるうちに、心身の限界を超えてしまう例は珍しくありません。賞与を待つかどうかは、あくまで自分の状態に無理がない範囲で考えるべきものです。我慢が限界に近いと感じるなら、賞与を待たずに動くことも、正当な判断です。

心身の不調が続くときは、賞与より自分を優先して

眠れない・気分が落ち込むといった心身の不調が続くときは、賞与の支給日まで我慢を続ける前に、まず医療機関(心療内科・精神科など)や、お住まいの自治体・公的な相談窓口に相談してください。職場のハラスメントについては、各都道府県労働局の「総合労働相談コーナー」で無料の相談を受けられます。賞与のタイミングよりも、あなた自身の安全と健康を優先してかまいません。

よくある質問(FAQ)

Q
ボーナスをもらってすぐ辞めるのは、非常識でしょうか。
A

賞与は労働の対価として支払われるもので、受け取ってから退職すること自体は問題のある行為ではありません。区切りとして賞与の時期に退職や転職を考える人は多く、珍しい選択でもありません。ただし、円満さを重視するなら、支給の直後にいきなり切り出すより、引き継ぎの段取りとあわせて丁寧に伝えるなど、伝え方に配慮するとよいでしょう。

Q
退職予定を伝えると、ボーナスを減らされたり、もらえなくなったりしますか。
A

扱いは会社の規定や運用によって異なります。支給日在籍要件を満たしているかぎり、退職予定であることだけを理由に賞与そのものを一方的にゼロにするような扱いは、必ずしも認められるものではありません。ただし査定には会社の裁量が働く部分もあるため、心配な場合は、就業規則(賃金規程)で支給日在籍要件や支給日を確認し、要件を満たす退職日を選んでおくと安心です。

Q
「支給日在籍要件」があるかどうかは、どこで確認できますか。
A

就業規則や賃金規程に、「賞与は支給日に在籍する者に支給する」といった記載があるかを確認します。就業規則は、社内のイントラや共有フォルダ、あるいは総務・人事への申し出で閲覧できることが多く、労働基準法では労働者への周知が会社に求められています。記載がわかりにくいときは、人事や総務に制度の考え方をそれとなく尋ねてみるのも一つの方法です。

Q
ボーナスを待つべきか、すぐ辞めるべきか迷っています。
A

すでに転職先が決まっていて入社時期が固まっているなら、賞与にこだわりすぎず、次のキャリアの都合を優先したほうがよい場面もあります。また、心身に不調が出ている場合は、賞与の支給日まで我慢するより、自分の健康を優先してかまいません。賞与は一度きりの区切りですが、次のスタートや自分の健康は、その後のキャリア全体に関わります。天秤にかけて冷静に見極めましょう。

まとめ|賞与は「支給条件の確認」と「伝え方」で損をしない

この記事の要点
  • ボーナスをもらってから辞めるのは、基本的に問題ない。後ろめたく感じる必要はない。
  • 最重要ポイントは「支給日在籍要件」。支給日に在籍しているかで受け取れるかが変わることがあり、退職日の置き方に注意する。
  • 条件は会社ごとに違うため、まず就業規則(賃金規程)で支給日在籍要件と支給日を確認する。
  • 伝えるタイミングは配慮しつつ、辞める権利は民法627条1項で守られている。査定を過度に恐れず、引き継ぎと前向きな理由で円満に。
  • 転職先の都合や心身の状態を優先すべき場面では、賞与を待たずに動く判断も正当。

ボーナスをもらってから退職することは、特別なことでも後ろめたいことでもありません。大切なのは、賞与の「支給日在籍要件」をはじめとする支給条件を、思い込みではなく自分の会社の規定で確認し、退職日と伝えるタイミングを落ち着いて設計することです。そのうえで引き継ぎを丁寧にし、前向きな理由で伝えれば、賞与を受け取りつつ円満に辞めることは十分に可能です。次のキャリアの都合や心身の状態が優先されるべきときには、賞与を待たずに動くことも間違いではありません。損をせず、気持ちよく次の一歩を踏み出せるよう、一つずつ確認しながら進めていきましょう。

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