SNSの普及により、イラストが使われる場面が広がっています。アイコン・LINEスタンプ・YouTubeサムネイル・キャラクターデザインなど、個人に依頼が向かう場面も見られます。
本記事では、イラスト副業の進め方を整理します。必要なツール、単価の考え方、案件を探す経路、著作権まわりの注意点を扱います。
どれくらいの収入になるかは、受けられる案件の単価と件数、確保できる作業時間によって変わります。本記事は特定の収入が得られることを示すものではありません。
イラスト副業の仕事内容と依頼のかたち
クラウドソーシングやスキルマーケットには、イラスト・デザインの募集カテゴリが常設されており、個人や中小企業が発注する経路も用意されています。ただし、募集の本数や金額は時期・ジャンルによって変わります。


どのような場面で使われるか
YouTube動画のサムネイル、SNS投稿、資料に使うカットなど、イラストが使われる場面は複数あります。どのような絵柄・用途が求められるかは発注者によって異なるため、募集内容を個別に確認する必要があります。
既製の素材では合わない「特定のタッチ」「業界特有の表現」「オリジナルキャラクター」を求める募集も見られます。ただし、どの分野にどれだけ依頼が集まっているかを示す公的な統計は確認できていません。
副業としてのメリット・デメリット
メリット。
- 必要な道具が絞られる(描画できる端末とペイントソフト。ソフトは無料のものから買い切り・月額まで幅がある)
- 在宅で完結
- スキマ時間での案件請負が可能
- 過去の作品をまとめておくと、応募のたびに提示できる
デメリット。
- 自分の作風を固めるまでに時間がかかる(必要な期間は人によって異なる)
- 案件獲得が不安定(月によって収入のバラつきがある)
- 著作権トラブルのリスク
- 修正のやり取りに時間がかかることがある
イラスト副業の種類別収益化パターン
イラスト副業は大きく「買い切り型」「委託販売型」「継続報酬型」の3種類に分けられます。それぞれ単価・労力・収入の安定性が異なるため、自分の得意分野と時間的余裕に合わせて選ぶ必要があります。以下では買い切り型と委託販売型の代表的な仕事を取り上げ、継続報酬型は後半の「継続収益化の戦略」でまとめて扱います。なお、各項目に記載した工数は作業内容によって変わる目安で、出典のある数値ではありません。
1. アイコン・プロフィール画像(買い切り型)
個人や企業向けに、SNSアイコンやブログのプロフィール画像を制作する仕事です。1件あたりの作業量が比較的小さい募集が見られます。
単価目安
募集ごとにクライアントが提示します。公式に公開されている相場は、後述の「クラウドワークスの発注相場」を参照してください。
工数
3〜5日
向いている人
シンプルなイラストが描ける、納期厳守できる人
個人からの1点ものの依頼と、企業がまとまった点数を発注する依頼の両方があります。どちらの形になるかは募集内容によります。

2. LINEスタンプ・イラスト素材販売(委託販売型)
一度描いたスタンプやイラスト素材をプラットフォームに登録し、販売数に応じた分配を受け取る方式です。制作した点数を増やしても、販売数が伸びるとは限りません。
単価目安
クリエイターへの分配額は「マイページにおいて確定額として通知された売上総額 − プラットフォームごとの手数料」の50%と案内されています。プラットフォーム手数料はLINE STOREとGoogle Playが30%、Apple App Storeは日本では2026年1月1日以降26%(それ以外は30%)です。分配額が1,000円未満の場合は送金申請ができません。あわせて、2019年6月26日以降にLINEスタンプメーカーから審査リクエストしたスタンプは、申請時の分配額設定で「有料ダウンロード/売上分配額あり」(LINEスタンプメーカー Version4.0以上)を選んでいない限り分配額が0円になる、と案内されています。制作前に申請方法と設定を確認してください(出典:Creators Appヘルプセンター「送金可能額はどのように計算されますか?」・2026年7月29日確認)。
収入の決まり方
販売数に応じた分配で、あらかじめ決まった金額はありません。1セットに登録できるスタンプ画像は8個/16個/24個/32個/40個から選ぶ形式です(出典:LINE Creators Market「制作ガイドライン」・2026年7月29日確認)。
工数
1セット(8個)あたり10〜20時間
向いている人
キャラクターが描ける、市場トレンドを理解できる人
LINEスタンプ以外にも、デジタルデータを扱えるBOOTHのようなマーケットや、noteの有料コンテンツとして素材を販売する方法もあります。手数料と出品条件は各サービスの規約で確認してください(ドメイン生存を2026年7月29日に確認)。
3. キャラクターデザイン・カスタムイラスト(買い切り型・高単価)
ゲーム開発、アニメ制作、商品企画など、「オーダーメイドのキャラクター」や「複雑なシーン画」の制作です。求められる作業量が多く、募集の条件も細かく指定される傾向があります。
単価目安
募集ごとにクライアントが提示します。後述のクラウドワークスの発注相場では「キャラクターデザイン・募集」(店舗オリジナルキャラクターの作成)が70,000円~と示されています。
工数
2週間〜1ヶ月
向いている人
解剖学・色彩理論を理解している、クライアント要望を汲み取れる人
1件あたりの作業量が大きく、修正のやり取りも増えやすい領域です。1件あたりの金額は大きくなる一方、制作期間が長いため、月に受けられる件数は限られます。
4. 書籍・雑誌のイラスト・カット(買い切り型・中単価)
書籍の挿絵、雑誌のカット画、ブログ記事のアイキャッチイラストなど、出版業界の仕事です。1件ずつの依頼が中心ですが、同じ発注元から続けて依頼を受けられる場合もあります。
単価目安
募集ごとにクライアントが提示します。後述のクラウドワークスの発注相場では「イラスト作成」(指定モチーフの線画イラスト)が30,000円~と示されています。
工数
1〜3日
向いている人
ニッチなテーマ(医療、教育、ビジネス等)を描ける、対応範囲が広い人

必要なツール選び
イラスト制作に使うツールは、扱えるファイル形式や作業のしやすさに関わります。無料で使えるものもあるため、まず手元の環境で試してから購入を判断できます。
iPad + Procreate
コスト
Procreateは日本のApp Storeで1,800円(買い切り/開発元 Savage Interactive Pty Ltd)と表示されています。動作にはiPadOS 16.3以降が必要です。別途、対応するiPadが必要になります(出典:App Store「Procreate」・2026年7月29日確認。価格・要件は変更される場合があります)。
特徴
直感的、レスポンスが速い、ブラシが豊富
向く人
手描きの自然さを重視、シンプルな環境で集中したい人
Procreateは買い切りのため、月額や年額の支払いが発生しません。iPad専用のアプリで、対応OSはiPadOS 16.3以降と案内されています。
Photoshop + Illustrator(プロ向け)
コスト
サブスクリプション型です。プランと料金は改定されることがあるため、アドビ公式サイトのプラン一覧で最新の金額を確認してください。
特徴
PSD・AIといった納品形式にそのまま対応できる、他のAdobe製品との連携がある
向く人
複数のツールを組み合わせて作業したい、クライアントと同じ環境で作業したい人
納品形式(PSD・AI・PNGなど)は募集要項で指定されることがあります。応募前に、指定された形式で書き出せるツールかどうかを確認しておきましょう。
Clip Studio Paint(中級者向け)
コスト
CLIP STUDIO PAINT PROは一括払い6,900円(税込)、月額プランは100円/月~と案内されています(出典:CLIP STUDIO 公式サイト「購入」・2026年7月29日確認。価格は変更される場合があります)。
特徴
マンガ・イラスト専用、豊富な素材ライブラリ、アニメーション機能もあり
向く人
マンガやキャラクター制作が中心、素材を活用したい人
CLIP STUDIO PAINTはマンガ制作向けの機能を備えており、キャラクターデザインやマンガの案件で使われる形式に対応できるかを確認する際の候補になります。
無料アプリ(超初心者向け)
- Krita: 無料で使えるオープンソースのペイントソフト(公式サイト)
- ibisPaint: 無料で使えるほか、広告表示のないプレミアム(有料)が用意されています。料金は公式サイトで確認してください
- MediBang Paint: 無料のイラスト・マンガ制作ツール。ファイルを共有して共同作業する「チーム制作」機能があります(公式サイト・2026年7月29日確認)
まず無料のソフトで作業の流れを試し、必要な機能や納品形式が出てきた段階で有料版を検討する進め方もあります。無料版のままで対応できる募集もあるため、購入時期は募集要項の指定に合わせて判断してください。
スタイル別の傾向と単価の調べ方
イラストのスタイルごとの傾向と、金額の目安を調べる方法をまとめます。まず、クラウドワークスが公開している発注相場(デザインカテゴリ)は次のとおりです。
| 依頼業務 | 発注相場 | 納期目安 |
|---|---|---|
| アイコン作成 | 30,000円~ | 10日前後 |
| イラスト作成 | 30,000円~ | 10日前後 |
| ロゴ作成・ロゴデザイン | 30,000円~ | 10日前後 |
| キャラクターデザイン・募集 | 70,000円~ | 10日前後 |
| 漫画・アニメ制作 | 40,000円~ | 15日前後 |
出典:クラウドワークス「クラウドワークス発注相場」(2026年7月29日確認)。これは発注側が支払う契約金額の相場として公開されているもので、受注者の手取りはここからシステム利用料が差し引かれます。金額はいずれも「◯円~」という下限を示した表示で、平均額ではありません。上表はデザインカテゴリのうちイラスト制作に関わる5項目を抜き出したもので、同ページが挙げている依頼内容の例は、アイコン作成が「コミュニケーションツール用のアイコンデザイン」、イラスト作成が「指定モチーフの線画イラスト」、ロゴ作成・ロゴデザインが「新しい飲食店のロゴ作成」、キャラクターデザイン・募集が「店舗オリジナルキャラクターの作成」、漫画・アニメ制作が「4コマ漫画制作(カラー対応・ネーム制作含む)」です。依頼内容が変われば金額も変わります。
ポップ・かわいい系
特徴
SNSで使われる場面が多い一方、流行の移り変わりが早い。募集数は時期によって変わる
単価目安
- アイコン・キャラクター制作:金額は募集ごとに提示される(上表の発注相場が調べる手がかりになる)
- LINEスタンプ:固定の単価はなく、販売数に応じた分配になる
- トレンドの影響を受けやすく、同じ絵柄でも時期によって募集数が変わる
計算例(すべて仮の数字です)。
- 1件8,000円のアイコン制作を月4件受けた場合の契約金額:8,000円 × 4件 = 32,000円(手数料を差し引く前)
- スタンプの売上総額が月10,000円、プラットフォーム手数料が30%の場合の分配額:(10,000円 − 3,000円)× 50% = 3,500円
- この2つを合わせた場合:32,000円 + 3,500円 = 35,500円(手数料を差し引く前の契約金額と、分配額の合計)
リアル・写実的イラスト
特徴
1件あたりの制作時間が長くなりやすい領域です。
単価の目安。
- キャラクターデザイン:上表の発注相場では70,000円~
- イラスト作成:上表の発注相場では30,000円~
- いずれも下限を示した表示のため、実際の金額は募集要項で確認する
受けられる件数の考え方。
- 1件の制作に2週間かかるなら、月に受けられるのは1〜2件が上限になる
- 修正のやり取りが加わると、着手から納品までの期間はさらに延びる
- 件数を先に決めるのではなく、1件にかかった実時間を測ってから決める
マンガ・コミック系
特徴
連載や同人販売と組み合わせやすい領域です。
単価の目安。
- 漫画・アニメ制作:上表の発注相場では40,000円~(4コマ漫画制作の例)
- 連載の条件は版元ごとに異なり、公表された相場は確認できていない
- 同人販売の利益は、頒布価格から印刷費・出展費を差し引いた額で決まる
収入を見積もるときの注意点。
- 連載は契約期間が定められていることが多く、更新の可否で収入が変わる
- 同人販売は先に印刷費が発生するため、売れた分がそのまま利益にはならない
- 1ページあたりの単価と、月に描けるページ数を分けて考える
デザイン寄りのイラスト(UI・ロゴ等)
特徴
企業からの依頼が中心で、同じ発注元から続けて依頼が来ることもある領域です。
単価の目安。
- ロゴ作成・ロゴデザイン:上表の発注相場では30,000円~
- アイコン作成:上表の発注相場では30,000円~
- UIキットやデザインシステム一式は、対応範囲を先に決めないと金額を出せない
見積もりのつくり方。
- 「ロゴ1点」なのか「ロゴ+配色ルール+使用例まで」なのかで作業量が大きく変わる
- 修正回数の上限を先に決めておく
- 二次利用(グッズ化・商標登録など)の可否を契約時に確認する
案件獲得チャネル別の戦略
案件を探す経路にはいくつか種類があり、手数料・契約形態・応募の手間がそれぞれ異なります。ひとつに絞らず、複数の経路を並行して用意しておくと、募集が途切れたときに動きやすくなります。
クラウドソーシング型(クラウドワークス・ランサーズなど)
メリット
イラスト・デザインの募集がサイト内に集まっており、応募から契約・報酬の受け取りまでを1つのサービス内で進められます。
デメリット
報酬から手数料が差し引かれます。クラウドワークスは契約金額のうち10万円以下の部分が20%、10万円超20万円以下の部分が10%、20万円超の部分が5%(別途消費税、タスク形式は一律20%)、ランサーズは全方式で契約金額(税込)の一律16.5%です。クラウドワークスが公開している計算例では、契約金額10,000円(税抜)の場合のワーカー受け取り額は8,580円とされています(出典:クラウドワークス「ワーカーシステム利用料」/ランサーズ「システム手数料の詳細を教えてください」・いずれも2026年7月29日確認)。
単価目安
募集ごとに提示されます。表示されている契約金額から上記のシステム利用料が差し引かれるため、手取りは契約金額そのものではありません。
使い方。
- 最初は応募から納品までの流れをつかむことを優先する
- 納品ごとに評価とレビューを積み、次の応募で提示できる材料にする
- 金額の見直しを相談するときは、これまでの納品実績と対応範囲を具体的に示す
スキルマーケット型(ココナラ・SKIMA)
メリット
依頼したい人が検索して見つけられる形で出品でき、「キャラクターデザイン」などの定額サービスを自分で組み立てられます。
デメリット
販売額から手数料が差し引かれます。ココナラは、テキスト・ビデオチャットサービスおよび有料ブログの販売について一律22%(税込)で、このうちビデオチャットサービスは2025年4月16日のアップデート以降にオープンしたトークルームから27.5%(税込)に改定されています。SKIMAは、出品金額にオプション料金を加えた「個別販売総額」に対して、1,000〜20,000円で22%、20,001〜50,000円で16%、50,001円以上で11%(いずれも消費税込み)です(出典:ココナラ ニュース(2021年4月12日)/ココナラ ニュース(2025年3月12日)/SKIMA「ご利用ガイド」・いずれも2026年7月29日確認)。
単価目安
出品者が自分で設定します。上記の手数料が差し引かれるため、受け取り額は出品価格そのものではありません。
使い方。
- ポートフォリオを充実させる(過去作品を積極的に掲載)
- 「●●のイラスト制作」「キャラクターデザイン」など定額サービスを作る
- クライアントレビューを貯める
SNS発信(Twitter・Instagram・TikTok)
メリット
仲介手数料が発生しない、クライアントと直接条件を交渉できる、制作物を継続して公開できる
デメリット
発信しても依頼につながるとは限らない、依頼が来る時期を見通せない、営業と制作の時間を自分で配分する必要がある
収入の考え方
フォロワー数から収入を見積もることはできません。依頼が来るかどうか、いくらになるかは、相手と条件によって決まります。
使い方。
- 毎週1-2回、イラスト過程や完成作品を投稿
- 「イラストのコツ」「メイキング動画」で教育的価値を提供
- プロフィールに「お仕事のご依頼はDMまで」と明記


個人サイト・ポートフォリオ
メリット
仲介手数料が発生しない、条件を直接交渉できる、制作物と実績をまとめて提示できる
デメリット
サイトの構築に時間がかかる、検索から見つけてもらえるまでの期間は見通せない、問い合わせフォームの管理が必要
収入の考え方
検索からの訪問数と収入は直接結びつきません。問い合わせが発生するか、そこから契約に至るかは内容と条件によって決まります。
使い方。
- WordPressやWix等で簡単にポートフォリオサイトを構築
- 「キャラクターイラスト ●●」「アイコン制作 相場」等の検索KWで記事を書く
- 問い合わせから定期クライアントへ
紹介・人脈(長期戦略)
メリット
条件を直接調整できる、相手の事情が分かった状態で始められる
デメリット
初期段階では難しい、社交スキルが必要
収入の考え方
紹介の件数も金額も相手の事情によって決まるため、こちらで見込みを立てられるものではありません。
使い方。
- SNSやイベントで業界人と繋がる
- 「こういう案件があったら紹介してくれませんか?」と伝えておく
- 実績が出たら「紹介してくれた方には事務手数料」等の条件を付ける
複数チャネルの組み合わせが重要です。クラウドソーシング+SNS+個人サイト の3つを同時に育てることで、収入源を分散させやすくなります。
著作権と取引時の注意点
納品物の権利と契約の取り決めは、後からのやり直しがきかない部分です。受注する前に確認しておきたい点を整理します。
著作権に関する危険な表現
以下のような表現・条件をクライアントから提示されたら、要注意です。
- 「有名アニメのキャラクターに似たデザインでお願いします」
- 「実在する企業のロゴに似た雰囲気で」
- 「著作権を放棄してください」 — 著作権法61条1項は「著作権は、その全部又は一部を譲渡することができる」と定める一方、59条は「著作者人格権は、著作者の一身に専属し、譲渡することができない」と定めています。求められているのが財産権の譲渡なのか、「著作者人格権を行使しない」旨の条項なのかを、契約書の文言で確認してください
- 「AI学習用なので安くていいですよね」(納品物の使われ方が変わるため、利用範囲を契約で確認する)
- 「著作権や商標権を侵害するおそれがあるため対応できません」と明記
- クライアントの「意図」ではなく「法的リスク」を根拠に断る
- 条文はe-Gov法令検索「著作権法」で原文を確認できます(2026年7月29日確認)。判断に迷う場合は弁護士に相談してください
契約書で確認すべき項目
買い切り型(アイコン・キャラクターデザイン等)の場合。
- 納品物の著作権は誰に帰属するか(クライアント側か、自分で二次創作可能か)
- 修正回数は何回までか(無限修正は避ける)
- 納期と支払いタイミング(前払い50%?納品後払い?)
- キャンセル時の対応(進行度合いに応じた部分払い)
販売型(LINEスタンプ・素材販売)の場合。
- ロイヤリティ率と支払い周期
- プラットフォーム側の権利と自分の権利
- 販売終了時の取り扱い(いつまで販売するか)
継続型(連載・定期案件)の場合。
- 契約期間(3ヶ月?6ヶ月?1年?)
- 更新時の単価交渉の有無
- 契約解除時の通知期間(1ヶ月前に通知、等)

トラブル防止の実践的な対策
- 最初は「小さな案件」でクライアントを見極める — アイコン1個の小さな仕事で相手の誠実さを判断
- 修正ルールを明記する — 「修正◯回まで、追加修正は1回◯円」のように、回数と追加料金を受注前に伝える(金額は自分で決めます)
- 進捗を定期報告する — 納品前に何度か確認を取ることで、最後のギャップを減らす
- 支払いトラブル対策 — クラウドソーシングを使うか、「前払い50%」を条件にする
- 二次利用の範囲を書面で決める — 著作権法61条2項は、著作権を譲渡する契約で27条(翻訳権、翻案権等)または28条(二次的著作物の利用に関する原著作者の権利)が譲渡の目的として特掲されていないとき、これらの権利は譲渡した側に留保されたものと推定する、と定めています。改変や別用途での利用を認めるかどうかを契約書に明記しておきましょう
継続収益化の戦略
単発の受注に加えて、同じ発注元から継続して依頼を受ける形や、販売が続く素材を持つ形を組み合わせる考え方を整理します。
継続クライアント化の仕組み
戦略1: LINEスタンプ+グッズ展開
最初のLINEスタンプが売れたら、そのキャラクターを使ってグッズ化する戦略があります。Tシャツ・マグカップ・スマホケースなど、プリントオンデマンド(POD)サービスで販売できます。
計算例(すべて仮の数字です)。
- LINEスタンプの分配額:月3,000円
- グッズ販売の利益(原価と販売手数料を差し引いた後):月5,000円
- 合計:3,000円 + 5,000円 = 月8,000円
戦略2: キャラクターアイピーの構築
自分が描いたキャラクターを「IP資産」として積み上げ、複数のプロダクト展開をする方法です。ゲーム企業やアニメ制作会社がやっていることを、個人規模でやるイメージ。
- STEP1オリジナルキャラクターを作るSNSで継続して公開する
- STEP2スタンプ化LINEスタンプとして審査を経て販売を開始する
- STEP3グッズ展開マグカップ・トートバッグなどのグッズ販売を検討する
- STEP4企業とのコラボ企業から相談が来ることもあるが、来る保証はない
- STEP5メディア展開の相談ここまで進むかどうかは、作品の認知度や相手の事情によって決まる
戦略3: 定期クライアント化
同じクライアントから毎月一定量の依頼を受ける形を作る方法です。金額と本数を月単位で決めておくと、双方が作業量を見通しやすくなります。継続するかどうかは先方の予算と発注計画によって決まります。
- Webメディア:毎月4記事のアイキャッチ画像(月20,000円)
- 教材出版社:毎月5ページのイラスト(月15,000円)
- 個人起業家:毎月3案件(月20,000円)
3社の合計は 20,000円 + 15,000円 + 20,000円 = 55,000円です。これは説明のための仮の数字で、実際の金額と本数は契約ごとに決まります。

スキルアップで単価を上げる
対応できる作業の幅が広がると、応募できる募集の種類が増えます。ただし金額の見直しは、こちらから相談し、クライアントが応じた場合にのみ変わります。
スキルアップの方向性。
- 速度向上 — 同じ内容を短い時間で仕上げられるようになると、1件あたりにかかる時間が減る
- 複数スタイル対応 — 「かわいい系しか描けない」から「リアル系・ビジネス系も対応」へ → 案件の幅が広がる
- ディレクション能力 — クライアント要望を引き出し、「こういう方向性はいかがですか?」と提案できる → 対応できる範囲を具体的に示せる
教材や講座に費用をかけても、単価が上がる保証はありません。上がるかどうかは、クライアントの予算と、こちらが対応できる範囲によって決まります。
イラスト副業のよくある質問
-
Qデジタルイラスト初心者でも副業で稼げますか?
-
Aどれくらいの収入になるかは、受注できる件数と単価によって変わるため、一律には言えません。クラウドソーシングやスキルマーケットには未経験でも応募できる募集がありますが、応募条件は募集ごとにクライアントが設定します。まずは応募できる募集を探し、納品した実績を提案材料として増やしていく流れになります。
-
Q月5万円稼ぐには、どのくらいの期間がかかりますか?
-
A期間を示すことはできません。受けられる案件の単価と件数、確保できる作業時間によって変わります。まずは1件の制作にかかった実時間を記録し、月に何件こなせるかを把握するところから始めてください。
-
QAIイラストが普及しているなか、人間のイラストレーターはどう対抗すればいいですか?
-
A生成AIの利用可否や生成物の扱いは、発注者や媒体によってルールが異なります。応募時には、対応できる作業範囲(ラフの提案、修正対応、納品形式)を具体的に示すことが提案材料になります。AIの利用条件は募集要項で確認してください。
-
Q本業が忙しい場合、週何時間あれば副業として成立しますか?
-
A必要な時間は、受ける案件の内容によって変わります。たとえば1件に5時間かかる案件を月2件受けるなら、月10時間が目安です(仮の数字です)。まずは1件にかかった実時間を測り、本業に支障が出ない範囲で件数を決めてください。
-
QLINEスタンプは本当に稼げますか?
-
A分配額は販売数に応じて決まり、あらかじめ決まった金額はありません。分配額は「売上総額からプラットフォームごとの手数料を差し引いた額」の50%で、分配額が1,000円未満のときは送金申請ができないとLINE Creators Marketのヘルプに記載されています。登録しただけで収入が発生するものではないため、ほかの収入源と分けて考えてください。
-
Qクライアントとのトラブルを避けるには、どうすればいいですか?
-
A最初は作業量の小さい案件から始める、修正回数の上限を事前に決める、進捗を定期的に報告する、やり取りと支払い条件を記録に残す、という4点が基本になります。契約内容に不安がある場合は、法律の専門家に相談してください。
まとめ
イラスト副業は、クラウドソーシング・スキルマーケット・SNS・自分のサイトなど、複数の経路から案件を探せる仕事です。必要な道具が絞られる一方で、単価と作業時間の見積もり、著作権まわりの取り決めが実務上の要になります。
始めるときに押さえる5つのポイント
- 応募から納品までの流れを一度通す — クラウドソーシングやスキルマーケットで、無理なく仕上げられる募集に応募する
- 1件にかかった実時間を記録する — リサーチ・制作・修正を分けて測り、月に何件受けられるかを把握する
- 対応できる範囲を書き出しておく — 描けるジャンル、納品形式、修正回数の上限をまとめ、応募時に提示できるようにする
- 案件を探す経路を複数持つ — クラウドソーシング、スキルマーケット、SNS、自分のサイトを並行して用意する
- 契約の取り決めを先に固める — 著作権の帰属、二次利用の範囲、修正回数、支払い時期を書面にする
著作権と契約の取り決めは、後から変更しにくい部分です。判断に迷う場合は、前掲のJILLA(組合員向け)や法テラス(資力要件あり)など、条件を確認したうえで相談先を選んでください。
本記事の金額のうち、出典を示していないものは相場ではなく計算のための仮の数字です。実際の単価と件数は募集ごとに決まり、特定の収入が得られることを示すものではありません。
まずは自分が対応できるジャンルを整理し、応募時に提示できる作品をまとめるところから始めましょう。
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