会社を辞めると決めたとき、「ハローワークって、退職してからじゃないと行けないのかな」と迷いませんか。結論から言うと在職中でもハローワークは利用できます。ただし失業給付(基本手当)の手続きだけは離職後でないとできません。この記事では、在職中にできる手続きと離職後にしかできないことの線引きを、公式情報から紹介しています。
退職前にハローワークへ行ってもいい?答えは「行けます」
ハローワークインターネットサービスのよくあるご質問には、「在職中なのですが、求職登録はできますか。」という質問に対し「在職中の方でも求職登録は可能です。」と書かれています。辞める前にハローワークへ行くことも、求職申込みをすることも、制度上まったく問題ありません。
新潟のハローワークも「ハローワークは在職中の方であってもご利用いただけます」と明記しています。在職中の人が来ることは、公式に案内されている使い方です。
出典: ハローワーク「よくあるご質問(仕事をお探しの方)」Q4、ハローワーク新潟「在職者のための転職ガイド」(2026-07-16参照)
混乱の元は「ハローワーク=失業給付をもらうところ」というイメージです。ハローワークの仕事は大きく「職業紹介」と「雇用保険(失業給付)」の2つに分かれ、職業紹介は在職中から使えます。失業給付は「離職した人」が対象の制度なので、在職中は手続きできません。
退職前と離職後でできることの早見
【在職中でもできる】求職申込み(求職登録)/職業相談・職業紹介/求人情報の検索/求職者マイページの開設
【離職後にしかできない】失業給付(基本手当)の受給手続き
理由:手続きに必要な離職票は、離職後に届く書類だからです


在職中にハローワークでできること【求職申込み・職業相談・求人検索】
在職中にできるのは「仕事探しに関すること全般」です。順に見ていきます。
求職申込み(求職登録):在職中でもできる
ハローワークのサービスを使う入口が「求職申込み」です。方法は2通りあります。
- オンラインで申し込む:ハローワークインターネットサービスで求職者マイページのアカウント登録をし、登録完了後14日以内に求職情報を入力します。この段階の人が「オンライン登録者」です
- ハローワークの窓口で申し込む:窓口で求職申込みの手続きと職業相談を行います
押さえておきたいのはオンライン登録だけで止めると使えるサービスが限られることです。求人検索やオンライン自主応募はできますが、ハローワークからのおすすめ求人の受信や、オンラインで紹介する求人への応募(オンラインハローワーク紹介)は利用できません。
一度窓口へ行って職業相談を受けると「ハローワーク利用登録者」に変わり、求人情報の提供や職業紹介、応募書類の作成、面接のアドバイスが受けられます。渡される「ハローワーク受付票」を提示すれば他のハローワークも利用できます。
在職中の人が損をしやすいポイント
オンラインで登録して求人を眺めるだけで終わる人が少なくありません。1回でも窓口で職業相談を受けて「利用登録者」になっておくと、その後に受けられる支援の幅が変わります。仕事帰りや土曜に相談できる庁舎もあります。
職業相談・職業紹介:全国どこでも、無料
求職申込みをすると、全国のハローワークで仕事の相談・紹介を無料で受けられます。開庁は8時30分〜17時15分が基本ですが、庁舎によっては平日19時まで、土曜日も開いています。日中に動きにくい人は時間の都合が合う庁舎を選ぶ手もあります。
出典: 富山労働局「在職中であっても仕事の相談や仕事の紹介を無料で受けることができます」(2026-07-16参照)
求人情報の検索・求職者マイページ
求職者マイページを開設すると、求人検索や求職者情報の確認・変更、メッセージ管理が使えます。求職公開を選べば、求人企業から直接連絡(直接リクエスト)を受けることも可能です。在職中から登録すれば「自分の経験でどんな求人があるのか」を辞める前に確かめられます。
注意:求職登録の有効期間は「翌々月末」まで
見落とされがちなのが有効期間です。求職登録の有効期間は、原則として求職申込みを行った日の属する月の翌々月末まで。たとえば4月に申し込めば6月末までです。
ただし、終了月に職業相談や職業紹介を受けた場合や、求人へ直接応募(オンライン自主応募)した場合は1か月単位で延長されます。有効期間が切れて登録が「無効」になると、マイページの多くの機能が使えません。早めに登録して放置すると、辞めるころには無効だった、ということが起こり得ます。
ここが分かれ道:退職日が半年以上先なら、求人の下見(検索)を先にして、退職の1〜2か月前に求職申込み+窓口相談をするほうが有効期間を無駄なく使えます。登録済みなら、終了月に職業相談を1回受ければ延長されます。
出典: ハローワーク「求職者マイページでできること」、同「求職申込み手続きのご案内」(2026-07-16参照)
応募から内定までの転職活動の流れは、別記事にまとめています。

退職前にできないこと|失業給付の手続きは離職後にしかできない
ここが、この記事でいちばん伝えたいところです。失業給付(基本手当)の手続きは在職中にはできません。「給付の申請だけ先に」は、残念ながらできない相談です。理由は2つあります。
理由1:手続きに必要な「離職票」は、離職後にしか手元に来ない
ハローワーク公式の説明では、雇用保険の手続きは「離職後、『雇用保険被保険者離職票(-1、2)』が届きます」ところから始まります。受給手続きに必要なものの筆頭が、この離職票-1と離職票-2です(手続きは住所を管轄するハローワークへ本人が行きます)。
離職票は自分で作れる書類ではありません。会社が「雇用保険被保険者資格喪失届」と「離職証明書」をハローワークへ提出し、交付されたものが会社経由(または後述のマイナポータル経由)で本人に届きます。会社が資格喪失の手続きをするのは、あなたが被保険者でなくなってから。在職中に離職票が手元にあることはありません。
理由2:働いている間は「失業の状態」にあたらない
もう1つは、そもそも制度の対象外だからです。厚生労働省のパンフレット「離職されたみなさまへ」では、失業の状態とは「離職し、就職したいという積極的な意思といつでも就職できる能力があり積極的に求職活動を行っているにもかかわらず、就職できない状態」と定義されています。
そのうえで同パンフレットは、原則として求職者給付の支給を受けられない人を列挙し、そこに「就職・就労中の方(試用期間を含む)」を挙げています。在職中のあなたはこれにあたります。書類が揃わないという事務的な話ではなく、制度の対象がそもそも離職した人なのです。
出典: ハローワーク「雇用保険の具体的な手続き」、厚生労働省「離職されたみなさまへ」(PDF)(2026-07-16参照)
この記事で扱わないこと
失業給付を受けられるか、いつから・いくら受け取れるか、離職理由が自己都合と会社都合のどちらになるかは、あなたの被保険者期間や離職の事情をもとにハローワークが個別に判断します。ネットの記事や会社の説明で決まるものではありません。この記事は判定に踏み込まず、手続きのタイミングだけを扱っています。ご自身のケースは必ず住所を管轄するハローワークで確認してください。


退職前だからこそやっておきたい3つの準備
「給付の手続きは離職後」でも、退職前にやることがないわけではありません。むしろ在職中にしかできない準備が3つあります。
準備1:「離職票交付あり」で届け出てもらうよう会社に伝える
これがいちばん大事かもしれません。会社が出す「雇用保険被保険者資格喪失届」には離職票の交付ありと交付なしの2種類があります。厚生労働省の案内には、事業所が「交付なし」で届け出た場合は「雇用保険の求職者給付を受給するために必要な離職票が発行されません」と明記され、受給を希望する人は「離職票交付あり」で届け出るよう事業所へ依頼することが促されています。
次の転職先が決まっていて給付を受けない人は交付なしでも困りませんが、少しでも受給の可能性があるなら、退職前に会社の担当者へ「離職票を出してください」と伝えておくのが確実です。メールなど記録の残る形にしておくと、行き違いが起きにくくなります。
会社が資格喪失届を出す期限は被保険者でなくなった日の翌日から起算して10日以内。それでも離職票が届くまでには、会社の事務とハローワークの審査、郵送の時間がかかります。
出典: 厚生労働省「2025年1月から、『離職票』をマイナポータルで受け取れるようになります!」(PDF)、福岡労働局「事業主の行う雇用保険手続き」(2026-07-16参照)
準備2:マイナポータルで離職票を受け取る設定(離職の2週間前までに)
2025年1月20日から、希望する人は離職票をマイナポータル経由で受け取れるようになりました。事業所からの郵送を待つ必要がなくなります。利用には次の3条件をすべて満たす必要があります。
- あらかじめマイナンバーをハローワークに登録していること
- マイナンバーカードを取得し、マイナポータルの利用手続きを行うこと
- 事業所が電子申請により雇用保険の離職手続きを行うこと
ここが「退職前にしかできない」ポイントです。厚生労働省の案内では、マイナンバー登録の確認(STEP1)は離職の2週間程度前までに、「雇用保険WEBサービス」との連携(STEP2)は離職前までに行うよう求められています。辞めてから思い出しても間に合いません。
条件を満たせなくても問題ありません:その場合は従来どおり離職前の事業所を通じて郵送等で離職票が届きます。勤め先が電子申請に対応していないこともあるため、「マイナポータルで受け取れなかった=手続きできない」ではありません。
準備3:雇用保険被保険者証がどこにあるか確認する(退職後に必要になる)
「雇用保険被保険者証」は雇用保険の加入番号を知らせる書類で、被保険者番号・氏名・生年月日が記載されています。番号は原則1人に1つで、転職しても同じ番号を引き継ぎます。
厚生労働省は事業主に対し、「ハローワークから交付された『雇用保険被保険者証』については事業主から本人に渡してください」と案内しています。ところが実際には紛失防止などの理由で会社が保管し、退職時に本人へ渡されるケースも多いとハローワークが説明しています。「手元にない」と焦る前に、勤め先の担当者に確認を。
退職後、この被保険者証は転職先に提出を求められることがあります。紛失していても再交付は可能で、窓口へ本人が行き「雇用保険被保険者証再交付申請書」と顔写真付きの本人確認資料1点を持参すれば原則として即日発行されます(郵送申請はおおむね2週間程度)。
| 書類 | いつ手元に来る | 主な用途 |
|---|---|---|
| 雇用保険被保険者証 | 加入手続き後に事業所経由(実際は退職時に渡されることも多い) | 転職先への提出 |
| 離職票-1・-2 | 離職後に会社経由またはマイナポータル経由 | 失業給付の受給手続き |
出典: ハローワーク名古屋南「雇用保険被保険者証を再発行する方法は?」、厚生労働省「事業主の行う雇用保険の手続き」(2026-07-16参照)
そもそも辞めるかどうかを迷っている段階なら、辞める前に試せることをまとめた記事もあります。

退職したらハローワークで何をする?離職後の手続きの流れ
離職票が届いたら、いよいよ給付の手続きです。ハローワーク公式の説明を順に整理すると次のとおり。手続きは住居を管轄するハローワークで行います。
離職後の手続きの流れ(ハローワーク公式の説明を編集部で整理)
STEP1 求職の申込みをする
STEP2 離職票を提出する
STEP3 受給資格の決定を受ける
STEP4 雇用保険受給者初回説明会に出席する
STEP5 失業の認定と受給を繰り返す
注目してほしいのはSTEP1が「求職の申込み」だという点です。給付の入口は「お金の申請」ではなく「仕事を探す意思表示」。失業給付は再就職をめざす人を支援する制度だからです。
ここで在職中の準備が効きます。退職前に求職申込みと職業相談を済ませておけば、離職後は相談相手がいる状態から動き出せます。辞める前から相談できている状態は、精神的にもかなり違います。
離職票が届いたら早めに動く
基本手当には、支給が始まるまでの待期や、受け取れる期間の上限といった時間的な制約があります。日数や期限は制度改正で変わることがあり、事情によって取り扱いも異なるため、当サイトでは具体的な日数には触れません。離職票が届いたら、まずは住所を管轄するハローワークで自分のケースを確認するのが確実です。先延ばしにするほど選べる幅が狭くなる可能性があります。
離職票が届かないときは
公式パンフレットには、「離職票の交付を希望する旨を会社に伝えているにもかかわらず、会社が手続きをせず、離職票がお手元に届かない場合は、みなさまの住所を管轄するハローワークにご相談ください。」と書かれています。会社と交渉して消耗する前に、ハローワークへ相談してください。
退職後にすぐ働かない選択をするなら、給付だけでなく生活資金の設計そのものを考えることになります。長期的な視点での退職は別記事で扱っています。

よくある質問
- Q退職前にハローワークへ行っても大丈夫ですか?
- A
大丈夫です。ハローワークのよくあるご質問には「在職中の方でも求職登録は可能です。」と明記されています。富山労働局も「在職中であっても仕事の相談や仕事の紹介を無料で受けることができます」と案内しています。求職申込み・職業相談・職業紹介・求人検索を無料で利用できます。ただし失業給付の手続きだけは離職後です。
- Q退職前に失業保険の手続きを済ませておくことはできますか?
- A
できません。理由は2つ。1つは受給手続きに必要な離職票が離職後にしか届かないためで、ハローワーク公式も「離職後、『雇用保険被保険者離職票(-1、2)』が届きます」と説明しています。もう1つは、厚生労働省のパンフレットが求職者給付を原則受けられない人として「就職・就労中の方(試用期間を含む)」を挙げているためです。ただし、離職票を「交付あり」で届け出てもらうよう会社に依頼するなど、退職前の準備はあります。
- Q雇用保険被保険者証は退職後に会社からもらえますか?手元にない場合はどうすればいい?
- A
厚生労働省は事業主に対し被保険者証を本人に渡すよう案内していますが、実際は紛失防止などの理由で会社が保管し、退職時に渡されるケースも多いとハローワークが説明しています。手元になければ勤め先の担当者に確認してください。紛失していても再交付は可能で、窓口へ本人が行き、雇用保険被保険者証再交付申請書と顔写真付きの本人確認資料1点を持参すれば原則として即日発行されます(郵送申請はおおむね2週間程度)。
- Q退職前に求職申込みをしておけば、離職後の手続きは早くなりますか?
- A
ハローワーク公式の説明を整理すると、離職後の流れは「求職の申込み→離職票の提出→受給資格決定→説明会→失業の認定」の順です。退職前に求職申込みを済ませておけば、離職後は相談相手がいる状態から動き出せます。ただし求職登録の有効期間は原則として申込み日の属する月の翌々月末までで、切れると無効になります。なお、受給できるかどうかや支給開始の時期はハローワークが個別に判断します。
まとめ|退職前と離職後で「できること」は分かれている
この記事の要点
・在職中でもハローワークは使える。求職申込み・職業相談・職業紹介・求人検索はすべて無料
・失業給付の手続きだけは離職後。離職票が必要で、かつ就労中は制度の対象外だから
・退職前にやること①離職票を「交付あり」で出すよう会社に依頼②マイナポータル連携(離職の2週間程度前まで)③雇用保険被保険者証の在りかを確認
・離職後の流れは「求職の申込み→離職票提出→受給資格決定→説明会→失業の認定」の順
「退職前にハローワークへ行けるのか」への答えは、行ける、です。行けないのは給付の手続きだけ。それ以外の入口はすべて在職中から開いています。辞めてから動き出すより、求人の相場を知り相談相手を作っておくほうが選択肢は広がります。参考にしてみてくださいね。
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