転職の応募でまず用意するのが履歴書です。ところが「履歴書 書き方」で調べると、出てくるのは新卒の就活を前提にした説明ばかりで、社会人経験のある転職者が知りたい「職歴が複数あるときの書き方」「在職中はどう書くのか」「短期で辞めた会社はどうするのか」といった疑問には、なかなか答えてくれません。
この記事は、転職(中途採用)に絞った履歴書の書き方をまとめたものです。職歴欄の書き方を中心に、入社・退社の書き方、「一身上の都合により退職」の使い方、在職中の「現在に至る」、短期離職の扱い、志望動機や本人希望欄の要点、写真や様式のルール、そして職務経歴書との書き分けまでを一気に整理します。新卒向けの説明で迷っていた人が、そのまま書き始められる状態を目指しました。


転職の履歴書は新卒とどう違う?(職歴欄が主役)
新卒の履歴書と転職の履歴書は、読み手が見たい場所が違います。新卒はまだ職歴がないので、学歴・部活・志望動機・自己PRで人物を判断されます。一方、転職では「これまで何をしてきたか=職歴」がいちばん見られます。学歴の比重は下がり、代わりに職歴欄が採用担当者の目線を集めます。
この違いを踏まえると、転職の履歴書で力を入れる場所は自然と決まります。まとめると次のとおりです。
- 職歴欄……最重要。入社・退社を漏れなく、正確に。ここが履歴書の中心になります。
- 学歴欄……最終学歴を中心に簡潔でよい。義務教育の内容まで細かく書く必要はありません。
- 志望動機・自己PR欄……履歴書では簡潔にまとめ、詳しい内容は職務経歴書と面接で展開します。
- 免許・資格欄……応募職種に関係する資格を、正式名称で書きます。
もう一つ、転職ならではの前提があります。履歴書と職務経歴書は2枚で1セットだということです。履歴書は経歴の「事実」をコンパクトに示す書類、職務経歴書はその中身を「実績」として詳しく語る書類、と役割が分かれています。履歴書に書ききれないことは職務経歴書に回す、という前提で進めると、どの欄に何を書くかで迷わなくなります(書き分けの詳細は後半で解説します)。
職歴欄の書き方|入社・退社と「現在に至る」
転職の履歴書でいちばん差が出るのが職歴欄です。ここは「正確さ」がすべてです。順を追って、書き方の型を押さえていきましょう。
入社・退社は1行ずつ、年月をそろえて書く
職歴は古い順(時系列)に、入社と退社をそれぞれ1行ずつ書きます。会社名は略さず正式名称で書き、「(株)」ではなく「株式会社」と書きます。入社した会社の事業内容や配属部署を簡単に添えると、経歴が伝わりやすくなります。
2018年4月 株式会社〇〇商事 入社
営業部に配属 法人向け〇〇の提案営業に従事
2022年3月 一身上の都合により退職
2022年4月 株式会社△△システム 入社(現在に至る)
カスタマーサポート部にて〇〇を担当
以上
西暦・和暦はどちらかに統一する
年月の表記は、西暦(2022年)と和暦(令和4年)のどちらでもかまいませんが、履歴書全体で必ず統一します。学歴欄は西暦なのに職歴欄は和暦、といった混在は避けてください。細かい点ですが、書類の丁寧さがそのまま人物の印象につながります。パソコンで作る場合は西暦のほうが管理しやすく、和暦との変換ミスも防げます。
「一身上の都合により退職」の使い方
自己都合で辞めた会社は、退職の行に「一身上の都合により退職」と書きます。辞めた具体的な理由(人間関係、給与への不満など)を書く必要はありません。理由は面接で問われたときに、前向きな言葉で答えれば十分です。
一方、会社の倒産・事業所の閉鎖・人員整理などで辞めた場合は「会社都合により退職」と書きます。ここで一つ注意があります。実際は会社側の事情による退職なのに、前の会社の書類上「自己都合」として処理されているケースがあります。会社都合か自己都合かは退職後の失業給付の扱いにも関わり得るため、区分に納得できないときは、履歴書の書き方を自己判断で決める前に、ハローワークや労働局などの公的な窓口に相談してください。
在職中は「現在に至る」、最後に「以上」
まだ今の会社に在籍したまま転職活動をしている場合、現職の入社行のあとに「現在に至る」と書きます。そして職歴欄のすべての記載が終わったら、次の行の右端に「以上」と書いて締めます。これは「ここまでが職歴のすべてです」という区切りを示す慣行です。退職済みで無職の状態なら「現在に至る」は不要で、最後の退職行のあとに「以上」を書けば足ります。
短期離職・試用期間中の退職はどう書く?
数か月で辞めた会社や、試用期間中に退職した会社を「短いから書かないでおこう」と省くのは避けてください。職歴を意図的に隠すと、後で発覚したときに経歴詐称と受け取られるリスクがあります(この点は後半のNGでもう一度触れます)。雇用保険の加入履歴などから在籍が分かることもあり、隠すメリットよりリスクのほうが大きいのが実情です。
短期離職は、職歴欄には事実として簡潔に書いたうえで、理由の説明は職務経歴書や面接で前向きに補うのが基本方針です。試用期間中に辞めた事情や、その経験をどう次に活かすかは、次の記事で具体的に整理しています。

学歴・免許資格・志望動機など各欄の書き方
職歴欄以外の各欄は、転職では「簡潔に、正確に」が原則です。欄ごとに要点を押さえます。
学歴は最終学歴を中心に簡潔に
転職の履歴書では、学歴は高校卒業以降を書くのが一般的です(応募先の指定があればそれに従います)。大学名・学部・学科まで書けば十分で、ゼミの内容やサークルなどを詳しく書く必要はありません。中退した場合も、隠さず「中途退学」と正確に書きます。学歴で紙面を使いすぎず、職歴欄にスペースを残す意識を持ってください。
免許・資格は正式名称で、取得年月とともに
資格は略称ではなく正式名称で書きます。たとえば「英検2級」は「実用英語技能検定2級」、「簿記2級」は「日商簿記検定2級」のように書きます。取得年月もそろえて記載します。応募職種に関係する資格を上のほうに、運転免許などの一般的なものはそのあとに置くと、関連性が伝わりやすくなります。勉強中の資格がある場合は「〇〇取得に向けて勉強中」と書き添えても差し支えありません。
志望動機は簡潔に(詳しくは職務経歴書・面接で)
履歴書の志望動機欄はスペースが限られています。ここに長文を詰め込むより、「なぜこの会社か」を2〜4文で簡潔にまとめるほうが読みやすくなります。これまでの経験と、応募先で活かせる点を一言で結びつけるイメージです。掘り下げた志望理由やキャリアの方向性は、職務経歴書と面接で展開します。履歴書はあくまで入口だと考えてください。
なお、応募先ごとに志望動機を書き分けるのが基本です。使い回しの文面は、読み手に「どこにでも出している」という印象を与えがちです。会社ごとに一文でもよいので、その会社に向けた言葉を入れましょう。
本人希望記入欄の正しい使い方
本人希望記入欄は、給与や待遇への細かい要望を書く場所ではありません。基本は「貴社の規定に従います」と書きます。ここに希望年収や勤務地の条件を細かく並べると、条件面ばかりを気にする印象になりかねません。
ただし、複数の職種で募集がある場合の応募職種の明記や、勤務地が限られる事情(家庭の都合など)がある場合は、この欄に簡潔に書いておきます。「絶対に譲れない条件」だけをシンプルに書き、交渉ごとは面接や内定後のオファー面談の場に回すのが賢いやり方です。
写真・手書きかパソコンか・履歴書の様式
中身以外の「体裁」で迷いやすいのが、写真・作成方法・様式です。ここは最新のルールを踏まえて整理します。
証明写真は3か月以内・清潔感を優先
証明写真は、おおむね3か月以内に撮影したものを使います。スーツを着て、背景は無地(白・青・グレーなど)が無難です。表情は口角を軽く上げ、清潔感を意識します。スナップ写真の切り抜きや、極端な加工は避けてください。データで貼り付ける場合も、サイズと画質が荒くならないよう気をつけます。
手書きとパソコン、どちらでもよい
「履歴書は手書きでないと失礼では」と心配する人がいますが、手書きでもパソコン作成でも、どちらでもかまいません。履歴書の作成方法に、一律の法的な決まりはありません。応募先から「手書きで」と指定がある場合や、字で人柄を見たいという方針の会社もあるため、指定があればそれに従います。指定がなければ、修正が容易でミスの少ないパソコン作成を選ぶ転職者が増えています。手書きの場合は、黒のボールペンで書き、書き間違えたら修正液で直さず新しい用紙に書き直します。
JIS規格の様式例と厚生労働省の新様式例
履歴書の様式について、近年に変化がありました。従来はJIS規格(日本産業規格)の様式例が広く使われてきましたが、この様式例は2020年に規格の様式例集から削除されました。これを受けて厚生労働省が2021年に新たな履歴書の様式例を作成・公表しています。
厚生労働省の新様式例では、性別欄が「男・女」の選択式から任意記載の欄に変わり、「通勤時間」「扶養家族数(配偶者を除く)」「配偶者」「配偶者の扶養義務」といった項目が削除されました。これは、応募者のプライバシーに配慮し、公正な採用選考を進める趣旨によるものです。市販の履歴書や転職サイトのテンプレートには、まだ従来の様式のものも新様式のものも混在しています。どの様式を使っても応募自体に問題はありませんが、性別欄などが空欄・任意になっている様式でも不安に思う必要はない、という点は知っておくと安心です。
履歴書と職務経歴書の書き分け(役割が違う)
転職では、履歴書と職務経歴書の役割の違いを理解しておくことが、書類全体の完成度を左右します。同じ内容を両方に書いてしまうと、職務経歴書が「履歴書の焼き直し」になり、いちばん伝えたい実績が埋もれてしまいます。
- 履歴書……氏名・学歴・職歴・資格などの「事実」を、A4・1〜2枚に簡潔にまとめる書類。フォーマットがほぼ決まっている。
- 職務経歴書……これまでの仕事の「中身と実績」を、自由なレイアウトで具体的に語る書類。どんな役割で、何をして、どんな成果を出したかを書く。
書き分けのコツはシンプルです。履歴書には「いつ・どこで働いたか」、職務経歴書には「そこで何をして、どんな成果を出したか」を書くと考えてください。履歴書の職歴欄で「株式会社〇〇に入社、営業部に配属」と事実を示し、職務経歴書で「新規開拓を担当し、担当エリアの取引社数を増やした」のように中身を語る、という分担です。志望動機や自己PRも、履歴書は要約、職務経歴書と面接で展開、という同じ考え方で振り分けます。
職務経歴書の具体的な構成や、職種別の書き方・そのまま使えるテンプレートは、別の記事で詳しく解説しています。

履歴書でやりがちなNGと注意点
提出前に、転職者がやりがちなNGを確認しておきましょう。中身が良くても、ここでつまずくと印象を落としてしまいます。
虚偽記載は経歴詐称のリスク
もっとも避けたいのが、経歴を偽ることです。学歴・職歴・保有資格などの重要な事項を偽ると、発覚したときに内定取消しや、入社後の懲戒(就業規則の定めによっては懲戒解雇)の理由になり得ます。「少し盛る」つもりの記載が、後から大きな不利益につながることがあります。
具体的には、実際には取得していない資格を書く、在籍期間を実態と変える、短期離職を隠すために職歴を省く、といった行為が該当し得ます。前述のとおり、短期で辞めた会社も事実どおり書くのが安全です。書きにくい経歴があっても、隠すのではなく「事実は正確に、説明は前向きに」という方針で臨んでください。
空白期間(ブランク)は正直に、前向きに
転職活動やその他の事情で、職歴に空白期間(ブランク)ができることがあります。ブランクそのものは珍しいことではありません。無理に埋めようとして虚偽の職歴を書くのは逆効果です。空白期間があれば、その間に何をしていたか(資格の勉強、家庭の事情、療養など)を、書ける範囲で簡潔に添えると、採用担当者の不安がやわらぎます。理由をすべて詳しく書く必要はなく、面接で問われたときに落ち着いて説明できるよう、事実を整理しておけば十分です。
使い回し・誤字・空欄に注意
- 志望動機の使い回し……前の応募先の会社名が残っていた、という事故は致命的です。応募先ごとに必ず読み直します。
- 誤字・脱字……提出前に声に出して読み返すと見つけやすくなります。日付の年(西暦・和暦の統一)も再確認します。
- 空欄の放置……書くことがない欄は「特になし」と記入し、空欄のままにしません。押印欄がある様式で押印を求められたら押します。


書き終えたら|提出前チェックと複数応募
履歴書が書けたら、提出前に次の点を最終確認します。ここまで押さえれば、書類で足をすくわれることはほぼなくなります。
- 職歴欄に抜け・空白期間の未説明がないか(短期離職も記載したか)
- 西暦・和暦が全体で統一されているか
- 会社名・資格名が正式名称になっているか
- 志望動機に前の応募先の名前が残っていないか
- 在職中なら「現在に至る」、末尾に「以上」があるか
- 写真は3か月以内・清潔感のあるものか
一度きれいな型ができれば、あとは応募先に合わせて志望動機と本人希望欄を調整するだけで、複数の会社に応募できます。転職では、1社に絞らず複数の会社に並行して応募するのが基本です。応募数が増えれば、それだけ内定を得られる可能性も広がり、複数の内定から選べる状況も生まれます。複数の内定が出たとき、どう比べて選べばよいかは、次の記事で詳しく解説しています。

自分で書いた履歴書・職務経歴書に不安が残るときは、第三者にチェックしてもらうのが近道です。転職エージェントには、応募書類の添削を無料で受けられるサービスがあり、応募先に合わせた書き方のアドバイスをもらえます。客観的な目を通すと、自分では気づかない改善点が見つかります。
よくある質問(FAQ)
- Q転職の履歴書は手書きとパソコン、どちらがいいですか?
- A
どちらでもかまいません。履歴書の作成方法に一律の法的な決まりはありません。応募先から「手書きで」と指定がある場合はそれに従い、指定がなければ、修正が容易でミスの少ないパソコン作成を選ぶ人が増えています。手書きの場合は黒のボールペンで書き、間違えたら修正液を使わず書き直してください。
- Q短期間で辞めた会社は履歴書に書かなくてもいいですか?
- A
書くのが原則です。短期離職や試用期間中の退職を意図的に省くと、後で発覚したときに経歴詐称と受け取られるリスクがあります。職歴欄には事実として簡潔に記載し、理由の説明は職務経歴書や面接で前向きに補うのがおすすめです。
- Q在職中であることは履歴書にどう書けばいいですか?
- A
現職の入社行のあとに「現在に至る」と書き、職歴欄のすべての記載が終わったら、次の行の右端に「以上」と書いて締めます。退職済みで無職の場合は「現在に至る」は不要で、最後の退職行のあとに「以上」を書けば足ります。
- Q履歴書の志望動機は職務経歴書と同じ内容でいいですか?
- A
役割が違うので、同じにしないほうがよいです。履歴書の志望動機欄は「なぜこの会社か」を2〜4文で簡潔にまとめ、掘り下げた内容は職務経歴書や面接で展開します。履歴書は事実と要約、職務経歴書は実績の詳細、と分担すると全体が引き締まります。
まとめ|転職の履歴書は「職歴欄で決まる」
- 転職の履歴書は職歴欄が主役。学歴は最終学歴中心に簡潔でよい
- 職歴は古い順に、入社・退社を正確に。自己都合は「一身上の都合により退職」、在職中は「現在に至る」+末尾「以上」
- 西暦・和暦は全体で統一。会社名・資格名は正式名称で
- 手書き・パソコンはどちらでもよい。JIS様式例は2020年に削除され、厚労省が2021年に新様式例を公表(性別欄は任意ほか)
- 履歴書は「事実」、職務経歴書は「実績」で書き分ける
- 虚偽記載は経歴詐称のリスク。短期離職も空白期間も、事実は正確に・説明は前向きに
転職の履歴書は、凝ったテクニックより「職歴欄を正確に、読みやすく」書けているかで印象が決まります。型どおりに整えたら、あとは職務経歴書で実績を語り、複数の会社に応募して、面接へと進んでいくだけです。まずは1枚、丁寧に仕上げるところから始めましょう。
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