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セカンドキャリア50代の始め方|3つの選択肢と5年計画【令和6〜7年の公的統計】

キャリア
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「定年まであと数年。この先の働き方をどうするか」——50代に入ると、多くの人がこの問いに直面します。この記事では、50代から始めるセカンドキャリアの3つの選択肢(継続雇用・転職・独立)を軸に、法律で企業に義務づけられていること、公的統計で確認できる数字、使える公的制度、5年間の準備プランの例を整理します。本文の数字は、公表元の資料名・調査時点・確認日をあわせて示し、資料そのものへのリンクを本文中に置いています。

50代のセカンドキャリア、まず知っておく3つの選択肢

セカンドキャリアとは、定年前後を境に、これまでとは異なる働き方を選び直すことを指します。単なる転職ではなく、「人生後半をどう働き、どう生きるか」を設計し直す考え方です。50代の選択肢は、大きく次の3つに整理できます。

50代セカンドキャリアの3つの選択肢
(1) 現在の会社に残る(定年後再雇用・継続雇用)……安定重視
(2) 転職する(同業種/異業種)……環境を変えて経験を活かす
(3) 独立・起業(顧問・コンサル・専門職など)……自由度重視

シフト君
シフト君
50代の転職って、要するに「別の会社に移る」ってことですよね?
ナビ先生
ナビ先生
それも一つですが、セカンドキャリアはもっと広い視点です。同じ会社に残るのか、転職するのか、独立するのか。「あと何年、どんな働き方をしたいか」から逆算して選ぶのがコツです。

なぜ今、50代のセカンドキャリアが重要なのか

背景には、雇用制度と寿命の変化があります。高年齢者雇用安定法は、定年を65歳未満に定めている事業主に対し、「定年の引上げ」「継続雇用制度の導入」「定年の定めの廃止」のいずれかを講じることを義務づけています(第9条第1項)。あわせて、65歳から70歳までの安定した雇用を確保するよう努めることも定められています(第10条の2第1項。努力義務です)。この条の見出しは「高年齢者就業確保措置」で、過半数労働組合などの同意を得た場合には、雇用ではなく業務委託契約や社会貢献事業への従事によって就業を確保する方法(創業支援等措置)をとることもできます。この改正は令和3年(2021年)4月1日から施行されています。また、定年を定める場合の年齢は、原則として60歳を下回れません(第8条。高年齢者が従事することが困難と認められる業務として厚生労働省令で定める業務に従事する労働者については例外があります)。

実際にどこまで実施されているかは、厚生労働省が毎年6月1日時点で集計しています。令和7年「高年齢者雇用状況等報告」(常時雇用する労働者が21人以上の企業237,739社の報告に基づく集計)では、65歳までの雇用確保措置を実施済みの企業は99.9%70歳までの就業確保措置を実施済みの企業は34.8%(前年差2.9ポイント増)、65歳以上を定年とする企業(定年制の廃止企業を含む)は34.9%でした。義務である「65歳まで」はほぼ行き渡っている一方、努力義務である「70歳まで」は3社に1社という差があります。

出典:e-Gov法令検索「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」第8条・第9条・第10条の2、厚生労働省「令和7年『高年齢者雇用状況等報告』の集計結果」(2026年8月4日確認)、厚生労働省「高年齢者雇用安定法の改正」(2026年8月5日確認)。なお「66歳以上まで働ける制度のある企業」の割合は、令和5年報告では43.3%と公表されていましたが、令和7年報告の集計結果と別表には同じ項目がありません。当編集部が確認した範囲では、この項目のより新しい数値は見当たりませんでした。

寿命の見通しも確認しておきます。厚生労働省「令和7(2025)年簡易生命表」によると、平均寿命(0歳の平均余命)は男81.35年・女87.33年60歳時点の平均余命は男23.86年・女29.07年で、60歳を迎えた人には平均して20年以上の時間があることになります。50代で選ぶ働き方は、その後20年以上の生活設計とつながっています。

出典:厚生労働省「令和7(2025)年簡易生命表の概況」「1 主な年齢の平均余命」表1(2026年8月4日確認)。平均余命は、その年の死亡状況が今後も続くと仮定して計算した値です。個人が何歳まで生きるかを予測するものではありません。

データの読み方:65歳までの雇用確保措置は法律上の義務で、実施済みの企業は99.9%です。一方、70歳までの就業確保措置は努力義務にとどまり、実施済みは34.8%。「65歳まで」と「70歳まで」では、企業の対応状況がまったく違います。自分の勤務先がどちらの段階にあるかは、就業規則の定年と再雇用に関する条文で確認できます。

3つの選択肢の違い|収入の決まり方・時間の裁量・確かめること

3つの選択肢は、収入がどう決まるかという仕組みそのものが違います。まず、その仕組みと、決める前に読む書類を並べます。

選択肢収入の決まり方働く時間の裁量先に確かめること確かめる書類
継続雇用(再雇用)会社の再雇用規程で決まる小さい再雇用後の職務・賃金・契約期間がどう書かれているか就業規則、人事部から示される条件
転職(同業種)応募先の賃金制度で決まる中くらい想定年収の幅と、その下限がどういう条件のときの金額か募集要項、労働条件通知書
転職(異業種)同上。前職の経験がどこまで評価されるかは応募先次第中くらい入社後に担当する業務と、教育期間があるか募集要項、面接での回答
業務委託・顧問案件ごとの契約金額。件数で変動する大きい業務範囲・報酬の計算方法・契約期間・中途解約の条件業務委託契約書
独立・起業売上から経費を引いた残り。開業当初は収入がない期間が生じうる大きい開業に必要な資金と、収入がない期間の生活費事業計画、資金計画

※この表は、3つの選択肢について「収入がどう決まるか」と「どの書類を先に読むか」を並べたものです。実際の条件は勤務先・応募先ごとに違います。気になる選択肢を1つ選び、右端の書類を手に取って同じ欄を確かめてみてください。

選択肢1:継続雇用(いまの勤務先に残る)

いまの勤務先に残る選択肢です。再雇用制度が使える場合、勤務先の健康保険・厚生年金に加入したまま働き続けられることが多く、手続きの負担は小さくて済みます。一方、再雇用後の職務と賃金は会社の再雇用規程で決まるため、定年前と同じとは限りません。当編集部が確認した範囲では、再雇用後の賃金が定年前の何割になるかを全国一律で示した公的統計は見当たりませんでした。金額は勤務先ごとに違います。就業規則の再雇用に関する条文と、人事部から示される条件を、実際の書面で確認してください。役割が変わることへの戸惑いも、事前に想定しておくと落差が小さくなります。

選択肢2:転職(環境を変えて経験を活かす)

勤務先を変える選択肢です。50代でどれくらいの人が実際に転職しているかは、公的統計で確認できます。厚生労働省「令和6年雇用動向調査」の年齢階級別転職入職率(1年間に転職して入職した人が、その年の初めの常用労働者数に占める割合)は、50〜54歳が男5.1%・女8.2%、55〜59歳が男5.4%・女7.6%でした。25〜29歳の男15.1%・女16.8%と比べると低い水準です。

ただし、年齢とともに一本調子で下がるわけではありません。同じ調査で60〜64歳は男が10.0%で、50代(男5.1%・5.4%)を上回ります(女は7.7%で、50代の8.2%・7.6%とほぼ同じ水準です)。定年や契約期間の満了をきっかけに動く人が増えるためで、同調査では60〜64歳で前職を辞めた理由の54.6%(男)が「定年・契約期間の満了」でした。50代の転職を考えるときは、「いま動くか」だけでなく「定年のタイミングで動くか」も選択肢に入ります。

出典:厚生労働省「令和6年雇用動向調査結果の概況」3 転職入職者の状況図4-1・表5(2026年8月4日確認)。この数字は「どれくらいの人が転職しているか」を示すもので、応募した人のうち何割が採用されるかを示すものではありません。

選択肢3:独立・起業(自分で仕事を取る)

自分で仕事を取る選択肢です。コンサルティング、講師業、士業などは、店舗や在庫を持たずに始められるため、開業のときに必要な資金が比較的小さくて済みます。ただし、開業しやすいことと、仕事が取れることは別の話です。収入がない期間が生じうるため、その間の生活費をどこから出すか、どの時点で見直すかを、始める前に数字で決めておいてください。会社を辞める前に副業として小さく受注してみて、実際に依頼が来るかを確かめる方法もあります(副業が就業規則で認められているかは、先に確認してください)。

50代の起業で押さえたい2点
(1) 初期投資が小さい業態を選ぶ(コンサル・講師・Web事業など)
(2) 「うまくいかなかった場合の生活設計」を先に用意する

経験を活かせる職種|50代からの現実的な選択

ここでは、50代向けの求人でよく見かける仕事の型を整理します。どれも「これまで何を、どの規模で、どう進めてきたか」を書面で説明できることが前提になります。募集がどれくらいあるかは時期と地域で変わるため、求人サイトで職種名と年齢条件を組み合わせて検索し、自分の地域の実際の件数を見てから判断してください。

  • コンサルタント・アドバイザー:企業の課題を聞き取り、進め方を設計して助言する仕事。契約は月額の顧問料型と案件単位の型がある
  • 研修講師・教育職:企業や団体の依頼で研修を設計し、登壇する仕事。1日単位・複数回シリーズなど、依頼の形はさまざま
  • 士業(税理士・社会保険労務士など):資格の登録が前提。開業に必要な設備は少ないが、登録料・会費と顧客獲得の手立てを先に確かめる
  • 嘱託・再雇用職:定年後の勤務先で、契約期間と勤務日数を定めて働く形。職務と賃金は再雇用規程で決まる
  • 営業・事業開発(業務委託):成果に応じて報酬が決まる契約が多い。契約書で「何をもって成果とするか」と支払時期を確認する

学び直しは「何を学ぶか」から決める

使うツールや手続きが数年で変わる仕事は少なくありません。学び直しを考えるときに迷いやすいのは「何を学ぶか」です。おすすめの決め方は、次にやりたい仕事の求人票を3枚ほど開き、そこに繰り返し書かれている条件のうち、自分に足りないものから手をつけることです。学んだこと自体ではなく、それを使って何をしたかを説明できる状態が、応募のときに必要になります。

  • オンライン講座:時間と場所を選ばずに受けられる。受講料はサービスごとに幅があるため、申し込み前に総額と受講期限を確認する
  • 公共職業訓練(ハロートレーニング):国と都道府県が実施する職業訓練。募集コース・応募資格・費用の扱いは時期と地域で変わるため、住んでいる地域のハローワークで確認する
  • 業界団体の講習:実務に近い内容を扱うものが多く、同業者と知り合う場にもなる。開催情報は各団体のサイトで確認する
アユミさん
アユミさん
50代から新しいことを学ぶのは遅すぎませんか?
ナビ先生
ナビ先生
年齢を理由に受講を断られる講座は多くありません。ただ、使える時間は限られています。全部を学ぼうとせず、次にやりたい仕事の求人票を開いて、そこに書かれている条件のうち自分に足りないものから手をつけてください。

50代からの働き方で関わる公的支援制度

セカンドキャリアの現実的な支えになるのが公的制度です。制度は改正されることがあるため、金額や条件は必ず公式サイトで最新情報を確認してください。

  • 高年齢雇用継続給付:60歳以降に賃金が下がった場合に、雇用保険から給付を受けられる制度。対象になる条件・支給率・上限額はいずれも改正されるため、ハローワークで最新の内容を確認する
  • 教育訓練給付・求職者支援制度:職業訓練の費用や生活面の支援に関わる制度。対象講座と要件はハローワークで確認する
  • 創業に関する融資・補助:日本政策金融公庫のほか、都道府県・市区町村にも相談窓口がある。募集期間が決まっているものが多いため、実施団体の公式ページで募集要項を確認する
  • 退職後の医療保険:健康保険の任意継続、国民健康保険、家族の健康保険の被扶養者になる方法などがある。どれを選べるかは状況によるため、勤務先の健康保険組合と市区町村の窓口の両方で確認する

注意:給付金の支給率・上限額・対象条件は法改正で変わります。本記事は制度の存在を紹介するもので、具体的な金額の判断はハローワーク・厚生労働省の最新情報、必要に応じて社会保険労務士にご確認ください。

セカンドキャリア5年準備プラン

ここでは、50歳から55歳までの5年間で何をいつやるかの一例を示します。年齢は目安なので、定年までの残り年数に合わせて前後させてください。すべてを順番どおりに進める必要はありません。

セカンドキャリア5年プラン(例)
  • 50〜51歳
    自己分析・情報収集
    キャリアの棚卸し、強みの抽出、価値観の再確認。3つの選択肢を具体的に調べる。
  • 51〜52歳
    方向性の決定・リスキリング開始
    継続雇用・転職・独立のいずれを軸にするか決定。必要なスキル習得に着手。
  • 52〜53歳
    準備・実行
    転職活動・起業準備・社内ポジション調整。新しい環境への適応を開始。
  • 53〜54歳
    確立・見直し
    経験を蓄積し、うまくいった点・改善点を踏まえて中期目標を修正。
  • 54〜55歳
    60代への移行準備
    年金・雇用継続給付の対象確認。60〜65歳のキャリアと収入計画を具体化。

家族の理解を最初に得る

50代の転職・独立は、収入の変動を通じて家族の生活設計にも関わります。特に独立・起業は、うまくいかなかった場合の影響が本人だけにとどまりません。良い面と悪い面、収入がない期間が生じたときにどうするかを家族と共有し、話し合ってから進めてください。話す前に、選択肢を比べた表の「先に確かめること」の欄を埋めておくと、感情ではなく条件の話ができます。

FAQ|50代のセカンドキャリアでよくある質問

Qセカンドキャリアの準備は50代のいつから始めるべき?
A
早いほど選択肢は広がりますが、50代のどの時点から始めても遅すぎるということはありません。まずは定年までの残り年数を数え、「継続雇用・転職・独立」のどれを軸にするかを決めるところから始めてください。準備の中身は、勤務先が70歳までの就業確保措置を導入しているかどうかで変わります。厚生労働省「令和7年高年齢者雇用状況等報告」では、70歳までの就業確保措置を実施済みの企業は34.8%でした。自社が該当するかは就業規則の定年と再雇用の条文で確認できます。50〜51歳での棚卸しを起点にした5年計画が、この記事で示す進め方です。
Q50代からの転職は、実際どのくらいの人がしていますか?
A
厚生労働省「令和6年雇用動向調査」の転職入職率は、55〜59歳で男5.4%・女7.6%でした。25〜29歳(男15.1%・女16.8%)より低い水準ですが、ゼロではありません。進め方としては2つあります。1つは、これまでの業界経験・人脈がそのまま説明材料になる同業種・関連職種から探すこと。もう1つは、募集要項に書かれている条件のうち自分に足りないものを先に埋めることです。ミドル・シニア層の求人を扱う転職エージェントを併用する方法もあります。ただし採用されるかどうかは応募先の事情にも左右されます。
Q年金や税金のことは誰に相談すればいい?
A
年金・税制は個人の状況で大きく変わり、制度改正も頻繁です。本記事では具体的な受給額や税額の判断は行いません。年金は年金事務所・社会保険労務士、税金は税務署・税理士、資金計画全体はファイナンシャルプランナーなど、それぞれの専門家にご相談ください。特に継続雇用・独立で収入形態が変わる場合、社会保険や確定申告の扱いが変わるため、早めの相談をおすすめします。

まとめ|この記事で確認した3つの数字

この記事で確認した数字は3つです。65歳までの雇用確保措置を実施済みの企業は99.9%、70歳までの就業確保措置は34.8%(令和7年高年齢者雇用状況等報告)。60歳時点の平均余命は男23.86年・女29.07年(令和7(2025)年簡易生命表)。55〜59歳の転職入職率は男5.4%・女7.6%で、60〜64歳では男10.0%に上がる(令和6年雇用動向調査)。継続雇用・転職・独立のどれを選ぶにせよ、最初にやることは同じです。就業規則の定年と再雇用の条文を読み、定年までの残り年数を数えること。そのうえで、この記事の表にある「先に確かめること」を1つずつ埋めてください。年金・税金・給付金の具体的な判断は、年金事務所・税務署・ハローワークと、必要に応じて社会保険労務士や税理士に確認してください。なお、本記事は転職の結果を保証するものではありません。実際の条件は、応募先の企業から提示される書面で確認してください。

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